Project Storyプロジェクトストーリー
西宮原プロジェクト
大阪府 大阪市
COMPLETION YEAR2018
チャレンジングな2棟同時施工の
大規模高齢者向け施設
この非常に難易度の高いプロジェクトを成功に導いたのは、三木組の技術と経験だけではありません。
カギは、若手社員たちが延べ2万人にのぼる職人さんたちとつくりあげた、「最高の現場」にありました。
Project Member
プロジェクト統括所長
西 康雄
執行役員・工事担当部長
1981年新卒入社 工事部
工学部・建築学科
マンション棟現場所長
市木 大輔
建築施工管理職・作業所長
2003年新卒入社 工事部
建築技術専門学校 専科
ホーム棟現場主任
小山 貴寛
建築施工管理職・主任
2008年新卒入社 工事部
建築大学校 専科
ホーム棟現場係員
奥野 亮汰
建設施工管理職・係員
2014年新卒入社 工事部
建築士専科
Story
012棟で1棟分の空地しかない高難易度のプロジェクト
本件は、隣り合う2棟の建物を同時に着工し、並行して建設を進めた大変めずらしいプロジェクトです。5階建ての「介護付き有料老人ホーム棟」(以下「ホーム棟」)と8階建ての「サービス付き高齢者向け住宅」(以下「マンション棟」)が並び建つ計画で、敷地内の空きスペースはわずか。前面道路も交通量が多いことから、2棟同時施工でなければ資材の搬出入や各種作業の計画が成り立たない、非常に難易度の高い案件でした。
また、空地のやりくりの難しさに加えて工期にも余裕がなく、厳しいスケジュール管理が求められましたが、革新的な工法の採用や現場の創意工夫によって、ひとつずつ課題をクリア。成功の背景には、現場に関わった延べ2万人もの職人さんたちと、三木組の現場監督チームとの密接なコミュニケーションがあったことは言うまでもありません。
「毎日ものすごい数の打合せを繰り返し、みんなが仕事しやすい環境づくりを心がけました。言いたいことが言えない、ぎくしゃくした現場はトラブルの原因になりますからね」(市木大輔/マンション棟現場所長)
02複雑な工程管理とイレギュラーな
クレーン解体撤去
本プロジェクトの「極意」は、2棟でうまく工程のズレをつくり、作業の流れを止めないことでした。たとえば杭工事では、まずホーム棟、数日ずらしてマンション棟の工事に着手し、両方が終わるタイミングをあわせて機械を入れ替える。スペースの問題で2棟同時が不可能だったコンクリート打設も同様でした。
こうした工夫を重ねながら躯体・設備・内装と工事は順調に進み、まず階数の少ないホーム棟が上棟しましたが、難問はここで終わりません。通常は撤去しやすいようできるだけ道路に近い場所に設置するタワークレーンが、ここでは建物の真ん中に据えられていたのです。
ほぼ正方形の建物中心にあるエレベーターシャフトを利用して設置されたタワークレーン。解体撤去には130トンレッカーが必要です。前面道路を通行止めにして、夜間22時~6時の間で作業を終えなければなりません。ここでも三木組の経験と技術、そしてチームワークがいかんなく発揮されました。
「レッカーの据付けだけで1時間半かかりましたが、事前の綿密な打合せと現場の工夫で、ギリギリ朝までに終わらせることができました。私も長年この仕事に携わっていますが、これはかなり特殊な作業でしたね」(西康雄/プロジェクト統括所長)
03難しい現場は社員にとって
学びの宝庫にも
その後、ホーム棟が外構工事に入っても2棟の作業タイミングの細かい調整は続きました。そして、2018年7月、ホーム棟がついに竣工。2か月後にはマンション棟も無事竣工し、1年近くに及ぶプロジェクトが完了したのです。タイトな工程の中、秋には台風の影響も心配されましたが、作業日数の変更を最小限に抑えての完成でした。
多くの人が関わり、長い時間をかけてひとつの建物をつくりあげる。その仕事の意義は、もちろん施主様にご満足いただけることが第一ですが、その過程は三木組社員にとっても大きな成長の機会を提供します。本プロジェクトの現場に配置されたのは、統括所長のほか2棟それぞれの所長と係員、合計5名。全員の持てる経験と技術が総動員された中で、特に係員にとっては貴重な学びの場となりました。
「常に先のことを考えながら仕事をするという当たり前のことを、この現場では身体で覚えることができました。また、想定外のことが起こっても、上司や先輩たちが、設計図書にはないものを含めて様々な技術的アドバイスをくれました」(奥野亮汰/ホーム棟現場係員)
04職人たちに「最高の現場」と言わしめたチームワーク
自分が関わった建物を誇りに思う気持ちは、もちろん三木組社員だけのものではありません。現場を共にする数多の協力会社のみなさんも同じこと。その感動の共有こそ、チームでひとつの目標を目指すこの仕事の醍醐味でもあります。
西宮原プロジェクトの建物竣工検査の日、「ここは忘れられない最高の現場でした」と言って涙し、竣工報告書に「この現場から離れたくない」と書いてくれた協力会社の方がいました。それほど全員が一生懸命になった現場づくりを主導したのは、やはり三木組の現場監督たち。安全の面でも欠かせないのがチームワークだからです。
「コミュニケーションはもちろん、常に率先して現場をきれいに保つことを心がけました。何か落ちていたら躓いてケガしかねませんからね。自分で毎日必ず掃除機をかけていたら、職人さんたちもついてきてくれた。そうやって雰囲気ができ上がっていったかなと」(小山貴寛/ホーム棟現場主任)
こうして最高の現場から生まれる最高の建築。その成果物はずっと後世に残ります。「あの建物は自分がやったんだ、と胸を張って言える人が何人いるか。それが建物の価値を決めると思っています」(西康雄/プロジェクト統括所長)
Project Details
プロジェクト名 : 西宮原プロジェクト
- 介護付き有料老人ホーム棟
- RC5階建て 建築面積993.49m²、延床面積3666.00m²
2017年10月 着工、2018年7月 竣工 - サービス付き高齢者向け住宅棟
- RC8階建て、建築面積623.28m²、延床面積3555.70m²
2017年10月 着工、2018年9月 竣工 - 三木組人員体制
- 統括所長1名、ホーム棟担当主任・係員各1名、マンション棟担当所長・係員各1名